2018年9月26日

足の捻挫vol.5「適切な処置とは?」

最終更新: 2020年6月2日

千曲市戸倉のとたに接骨院です。

今までシリーズで足の捻挫について云々と言ってきました。

vol.1では、実はほとんどちゃんと治っていませんよ~と云々。

vol.2は、見逃される理由はこうですよ~と云々。

vol.3では、正確に診断するには~と云々。

vol.4は、後遺症の症状は~と云々。

そしてついに最終章。

vol.5の今回は、いよいよ前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)の断裂及び付着部裂離(れつり)骨折の、治療法についてのお話です。

ではまず、今まで行われてきた一般的な治療法から紹介しましょう。


軽度の捻挫の場合、つまり靭帯は切れておらず、骨も折れていない場合。

「包帯を巻いて安静にする。」

これが一般的ですね。

前距腓靭帯が軽く傷ついて腫れている程度であれば、痛みと腫れが引くまでの間、包帯で動きを少し制限してそっとしておく。

これで問題ありません。

だいたい1~2週間で治ることが多いです。

最悪「何もしないで放っておく」でも治るには治ります。

ただこれでは治るまでに時間がかかってしまうので、包帯くらいはした方がいいですね。

では、断裂か骨折があった場合です。

きちんと治るために必要な条件が2つあります。

それは・・・

1.「損傷した断端同士が接触している事」
 
2.「接触した断端同士が、くっつくまで安静にできていること」

この2つです。

どちらかだけでも駄目です。

「ん?」ですよね?

ではこの2つを壊れたおもちゃに例えて分かりやすく説明します。

想像してみてください。

遊んでいたおもちゃが、切れたり折れたりして壊れてしまった経験はありませんか?

僕はしょっちゅう壊していました。

壊れたおもちゃを接着剤でくっつけるとき、壊れたパーツを「ギュッ」と押し付けますよね?離れていたらそのまま接着剤が乾いて終わりですからね。

「断端同士が接触」とはこーゆー事です。

そして接着剤を「ギュッ」としたら、乾くまでそのままにしますよね?乾く前に「乾いたかな~?」って触っちゃうと「ポロッ」となっちゃいますからね。

「くっつくまで安静」とはこーゆー事です。

つまり、「包帯を巻いて安静にする」だけでは不十分という事です。包帯では動きを少し制限する事はできても、やっぱり動いちゃいますからね。

「何もしないで放っておく」はもう論外です。

ではギプスや副木のように硬性固定ではどうでしょうか?

よくひどい捻挫をしたときに、L字型やU字型の固いものを包帯で固定していたり、ギプスを巻いているの見たことがある人もいると思います。

これなら「くっつくまで安静」に出来そうですよね?

しかし多くの場合で「断端同士を接触」させる事が出来ていません。

「断端同士が接触」していなければ、そもそもくっつきません。

ではどうすれば「断端同士が接触」を達成できるのでしょう?

実は足首の角度が重要なんです。

その角度を満たしていなければ「断端同士が接触」を達成できません。

その角度とは・・・

「軽度外反・背屈5゜」

・・・皆さんのきょとんとした表情が目に浮かぶようです。

外反とは「グキッ」とやるのが内反ですからその逆方向の動きです。つまり小指側が少し上がった状態です。

背屈はつま先が上がった状態なので・・・

軽度外反・背屈5°

こーゆー事ですね。

ご自分の力でやってみてください。自力でやるにはかなりしんどい角度です。

なのでやはり硬性固定でないとこの角度はキープできません。

L字やU字型の固定でも、厳密にこの角度をキープするのは困難を極めます。

やはり、ギプス固定がベストではないでしょうか。

この「軽度外反・背屈5゜」でギプスを巻くと・・・

軽度外反

軽度外反

背屈5°

背屈5゜

こうなります。

これで「断端同士が接触」と「くっつくまで安静」が達成できるというわけです。

この「軽度外反・背屈5゜」の根拠は何なのかというと、前距腓靭帯の断裂の手術をする医師が、実際に切れた断端同士を接触させて導き出した角度です。

つまり推測ではなく、事実から割り出した角度なのです。

だいたい3週間前後この固定をしていれば、断端同士はくっつきます。

当然3週間もギプスを巻いていれば関節は固くなりますし、筋力も落ちます。

そこから約1カ月程度かけてリハビリをして、全治約2カ月といったところですね。

え?長いって?

そりゃ怪我をしたんですから、それなりの期間はかかりますよ。

ノーリスクというわけにはいきません。

魔法のように一瞬で傷が塞がるなんてことはあり得ませんから。

ただ長い目で見れば、長い一生のうちの「たった2カ月」です。

もし僕の子供がこの怪我をした場合、絶対この方法を取ります。

後遺症の余計なリスクは、子供には絶対負わせたくありませんからね。

さて、シリーズで5回にわたりお伝えしてきた「足の捻挫」。

少しは皆様のお役に立てましたか?

・・・うんうん、・・・うんうん、・・・そうですか!そうですか!!

お役に立ててうれしいです!

これからも皆様にとって少しでもお役に立てる情報を発信していきたいと思っていますので、どうぞごひいきに!

などと云々。

〈続きはこちら〉

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