2020年4月9日

症例〈橈骨遠位端部若木骨折〉

最終更新: 2020年10月8日

千曲市戸倉のとたに接骨院です。

今回は当院で治療した症例をご紹介します。

もちろん今回も患者さんから許可を頂いて掲載します。


・9歳男子

・週末のドッヂボールの試合中に上級生が投げた球を左手に受けて負傷

・週明けには日常生活に大きな支障はなかったものの、左手首の痛みが残っていた為当院受診

強い腫れは無し

こんな感じです。

では早速エコーを撮ってみましょう。

手首のこの部分を撮影した画像がこちらです。

はい、しっかり折れてます。

赤い丸の部分がはっきりとした段差になっていますね?

ちなみに反対の手と比べると・・・

一目瞭然ですね。

ぱっと見で段差があることは分かると思います。

が、実はそれだけではなくて折れた先の角度も違うんですね。

つまり

曲がりながらズレてる

って事です。

レントゲンではどのように映るのでしょうか?

正面と側面では少しわかりづらいですが、斜めから撮る斜位が分かりやすいですね。

ポコッと膨れてるように映っている部分が骨折部です。

子供の骨は大人の骨に比べて弾力があるので、若木の様に骨の表面がグシャっと潰れて盛り上がる様に折れる事が多いのです。

いわゆる子供特有の折れ方ですね。

これで診断がつきました。

橈骨遠位端部若木骨折

です。

多くの医療機関ではこのまま軽い固定だけしてしまいます。

しかしそれでは曲がったままくっついてしまいますし、くっつくまでの間に更に骨がズレて曲がってしまいます。

なので当院ではまず整復をして、それから再びズレない様にしっかりと固定します。

これが整復前後の比較です。

左が整復前、右が整復後。

潰れて膨れてしまった部分は残っていますが

ズレは全く無くなりました。

そして固定です。

ギプス固定です。

この程度の若木骨折なら肘から先の固定で充分です。

もっと派手に折れてる場合は肘より上から固定します。

10日ほど経過すると新しい骨が出来上がってきます。

青線で示した部分は仮骨(かこつ)と呼ばれる、言わば接着剤のような役割をする軟骨が出てくるんです。

この仮骨がだんだん固まることで骨がくっつく仕組みなんですね。

これがさらに経過して3週間ほどたつと・・・

仮骨がしっかり固まって元あった骨の輪郭が分からないくらいになります。

ここまで行けばもうズレる心配はありませんね。

ちなみにレントゲンでもこのようにはっきりと見えます。

今回の症例は

・ギプス固定約1週間

・シーネ固定約10日

で全治1ヶ月でした。

全く後遺症も残らずに治っています。

もし軽い固定をしていて、さらにズレた状態でくっついてしまっていたら、後遺症が残ってしまう可能性があります。

その後の人生になるべくリスクを残さないようにするには、出来るだけきれいに治すことが重要なんです。


今回の症例もそうでしたが、子供の怪我の場合は大人が想像している症状よりも、ずっと軽く出るケースが多くあります。

少しでも「おかしいかな?」と思ったら、すぐにご相談ください。

安心して下さい。

大した事ない時は、ちゃんと大した事ないって言いますから。

などと云々。

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